Vol.21 ショートセールとそのプロセス
ショートセールとは?
現在の市場価格で売却しても、物件に付いている債務(住宅ローン、固定資産税など)や売却諸費用(クロージングコスト、仲介手数料等)を完済できない状態(債務超過)で売却を行うことを「ショートセール」と呼びます。ショートセールでは債権者(ローンの貸付銀行など)の承認が必要となります。
例えば、3年前に50万ドルの物件を45万ドルのローンで購入し、現在の価格相場が40万ドルに下がったとします。すると、売却益でローン残高の返済と売却諸費用を払えません。売却価格が購入価格より低くても、ローン残高を完済できる純資産(エクイティー)があればショートセールにはなりません。しかし売却価格が40万ドルで債務が39万ドルのように差額がギリギリの場合などでは、売却諸費用を準備できなければショートセールになります。
ショートセールのプロセス
家の売却を始めるのはホームオーナーですが、価格や売買条件などすべての決定権は債権者が持ちます。現在こういったケースに銀行側の対応が間に合わず、オファーを入れてから返答まで3カ月前後待つのは当たり前という状況です。
ショートセールの大まかな流れは次の通りです。
1:ホームオーナーが物件の売却を不動産エージェントに相談。エージェントを通じて債権者にショートセールの希望を通知する。
2:ローン申請とほぼ同じ内容の書類(収入証明、銀行の残高証明など)に加えて、切迫した経済状況を説明した手紙を含むショートセール・パッケージを揃え、オーナーにローン残債の返済能力がないことを証明する。
3:買主からオファーが入ったら、ショートセール・パッケージと共に債権者へ提出する。
4:債権者は、ホームオーナーが返済不能な状態かを審査し、不動産鑑定を行いオファー額の妥当性を検討。低過ぎる場合は、カウンターオファーが送られてくる。
5:オファー内容が合意に至り、エスクローに入る。この時点で、契約終了日が指定される。
通常の売買では、ターマイト検査、修繕リクエストへの対応、ホームワランティーなどは売主が負担しますが、ショートセールではそのままの状態で売却する”As Is”ですので買主の負担となります。プロセスに時間がかかること、”As Is”であること、買主が負担する費用が増えることなどを踏まえて、妥当な価格での売却を進めるためにも、不動産エージェントにはショートセールに対する専門知識と経験が求められます。
また複数の住宅ローンが付いていたり、固定資産税(Property Tax)やHOA費の滞納があると、プロセスはより複雑になり、契約締結の難易度は高くなります。事前に必ず正確な債務額を把握するようにしてください。
フォークロージャーのプロセス
ローンの支払が滞っている場合は、債権者の承認をもらってショートセールを進めていても、同時進行で債権者による差し押さえ(Foreclosure)、競売(Trustee's Sale)のプロセスが進んでいます。
競売が実行されるとショートセールはできなくなりますので、日程の通知が来たら、競売延期の申請が必要です。
フォークロージャーになった場合は、所有権が債権者に移行するため、速やかに家を明け渡す必要があります。クレジットヒストリーに対するダメージはフォークロージャーの方が大きいと言われますが、詳しくは弁護士、または会計士にお確かめください。
ショートセールのプロセスは複雑で、債権者と密に折衝する必要があります。十分な知識と経験を持つエージェントに依頼することをおすすめします。