子どもの学校で、夜7時から9時までボランティアをしている。
秋のイベントに向けた大道具づくりだ。
仕事を終えたお父さんたちが、有志で集まり、
慣れない工具を手に、試行錯誤で作業を行っている。
それぞれ、まったく異なる背景をもつ人たちだ。
ヨーロッパからの移民を祖先にもつ白人の人たち。
中南米にルーツをもつラテン系の人たち。
日系人収容所を経験した親族をもつ日系三世、四世。
留学をきっかけに渡米し、七転八倒の末に市民権を得た私。
雑談や冗談が飛び交いながらの、和気あいあいとした共同作業。
9時になると「Thank you! We still have a lot to do!」と声を掛け合う。
みんな笑顔で握手を交わし、手を振って帰路につく。
身体は疲れているのに、どこか心が軽い。
私はこの時間と空間が、とても心地よい。
バックグラウンドが違っても、人が求めるものは同じだと思う。
家族や友人、コミュニティとのつながり。
違いを超えた、受容と相互尊重の気持ち。
誰かの役に立ちたい、価値を提供したいという普遍的な願い。
37年間アメリカに暮らしてきて、今ほど社会の分断を感じる時代はない。
歴代の大統領を含め、数世代遡れば、アメリカ人のほとんどが移民の子孫だ。
確かに現行のシステムには改善すべき課題がある。
だが、自らも移民の血を引く人々が、移民を差別し排除しようとする声を上げることに、深い戸惑いを覚える
アメリカは移民の国。
多様な人々の努力と希望の積み重ねが、この国を形づくってきた。
祖先たちが憧れた「偉大な国アメリカ」が、復活することを信じている。